瞳真くんは散々苦情を述べているようだが、無表情で淡々としているため、口ほどに嫌がっている感が伝わらない。
対する横川さんも、ただ「うふふ」と落ち着いて笑っているだけなので、口ほどにヤル気があるのかが不明。
変な二人。
「まあ、何なら?伶士殿と二人で上半身裸になる?」
「へ、へっ!」
「冗談よ?うふふ」
妖艶な視線を急に向けられ、ドキッとしてしまった。
そして、笑いかけられながら、彼女はそのままスッと去って行った。
神出鬼没系なのかな。
「ったく、おちおち気も抜けねえな。あの女わ」
「……」
瞳真くん…気も抜けないの?
どちらかと言えば、気が抜けてる時しかなくない?
なんて。思わず苦笑いを浮かべてしまった。
「……まあ、いいわ。ところで伶士、さっきから何度も聞いてるんだけど、何で三年のフロアにいんの?」
「あ、そうそう。それは……」
と、言い掛けた時。
今度は瞳真くんの背後から、その用事の相手が登場した。
「橘くん、ごめんねー!こっちから呼んだのに待たせて!」
「い、いえ」
……実は、三年のとある女子にお呼び出しを受けていたのである。



