そのやり取りを見ていた向かいの美奈人が「俺もさ…」と、突然口にして、話を始める。
「俺だって、大好きな叔父さんがやられたと聞いた時は、心底あいつらを憎んだよ。殺してやりたいって思うほどだよ、それこそ」
美奈人の言葉には、ズシッと重みがあってハッとさせられる。
それもそのはず、美奈人も同様に身内を彼らの手によって失っているのだから、その悲しみ、痛み…憎しみは計り知れないはず。
普段フザけてる男のマジ話だからというのもあるけど。
「でも、憎しみ抱えたまま思いのまま、ただ殺したところで、何が残るかって考えたとき……それは『達成感』じゃないと思った。うまく言えないけど」
「美奈人…」
「俺の場合、叔父さんに手を掛けたヤツは、母ちゃんが『相殺』にして生け捕りにしたんだけどさ…今そいつは、生きることで罰を受けて罪を償ってる。その姿見てさぁ…何故か、殺さなくて良かったと思っちゃったんだよね。悪い意味じゃねえよ?うまく言えないけど」
美奈人は、フッと短く笑って…何かを思い出すかのように、口元を緩めた。



