半人半魔……魔族との契約によって力を得た人間は、魔力を奪ってから捕獲する。
魔族は『相殺』で跡形もなく消滅させてしまうのに。
それは…。
「それは…彼があくまでも人間、だからですか?」
彼は、あくまでもこの世界に生きる人間。それを強調していたのは先の件でも印象的だった。
先の件の情報を踏まえた、恐る恐ると口にした俺の質問に、綾小路さんは目を丸くしていたが、きちんと答えてくれる。
「そうですね…その通りです」
「確かに…リグ・ヴェーダは我々にとっては『仇』です。忌々しく魔族同等の魔力を持った」
「仇…」
「彼、大石明生自身は、我々の大切な仲間である、なずなの父、優さんに一生目を醒させない呪をかけた。そして、彼の仲間の手によって、陰陽師大和総本山の次期総帥だった夜薙和羅の命をも奪っております。……これは、伶士くんも今までの経過で知るところでしょう」
「は、はい」
「…しかし、リグ・ヴェーダは大石明生という、この人間界に生きる人間なのですよ。仇でも、何でも。彼は…魔族ではありません」



