「今日しか無いって…」
「あの二人の目を掻い潜って、伶士くんに接触するのは今日しか無かったんだよ。なずなと剣軌くんが共に行動してなお、帰りが遅い日は。玲於奈に依頼のスケジュール教えてもらっちゃった」
「……」
そういうことだったのか。
あの二人の知らないところで、俺と接触する必要があった。ということ。
そして、俺と接触する理由。それは…。
「…何で、二人に内緒なんですか?そこまでして俺に話さなきゃいけないことって」
…恐らく、綾小路さんは俺に、二人に聞かせてはいけない内容の話をするのだ。
綾小路さんは「うーん…」と言葉を選んでいるようだ。
「ま、向こうに着いてから話すよ。みんな待ってるから」
「……え?みんな?」
到着してみると、そこは予想外の光景だった。
店内に入るなり、カウンターを陣取っていたのは、三人の男性。
「伶士クン、学校お疲れ様デス」
「ども」
「お久しぶりです、こんにちは」
「へっ?!……あ、あぁ、お疲れ様です」
まさか、ペンタグラムで待ち受けているとは思わないだろ。
玲於奈、風祭さんに、川越さんが。



