俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


意地っ張りの見栄っ張りの負けず嫌いは、ボディガード、陰陽師であることの矜持からくるもので。

それを取っ払ってしまえば、なずなはただの16歳の女子高生。

父親をも亡くして、喪失感に押し潰されそうになっている、一人の女性なのだ。



受話口から聞こえてくるすすり泣きを耳にして、また俺は後悔する。

俺はいったい、何を考えていたんだ。

なずなの何を見ていたのだ、と。



そして、次に続くなずなの思いを聞いて、更に後悔するのだった。



『れ、伶士っ、わ、私っ……』

「……うん、何」

『わ、私っ、ホントは、ママに会うの、怖いっ……』

「……え?」

『ず、ずっとっ、会ってなかったっ……ママ、一度も会いに来てくれなかったのにっ……ど、どんな顔して会えばいいのっ……』

「……」

『……も、もう、どうしていいかっ、わかんなくてっ……だ、だからっ、伶士の声っ、聞きたくてっ、あいたくてっ……』



……熱く打ち付ける鼓動が、胸が痛い。



なずなが、母親に会いたいって?

喜んで一緒に住むかも?日本に帰ってこないかも?



俺は……なんて勝手なことを考えていたんだ!