俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


この沈黙が何故か今回は気まずいというか、嫌な感じがして。

俺は思わず、心の中に押し留めていた思いを吐き出してしまった。



「……ったく。連絡のひとつぐらい寄越せよ。そんな急にフィリピン行くとか言われても……」



いやいや、急な打ち明け話ではない。前もって聞いていたし。心していたことだ。

だが、何となくぼやいてしまった。



……しかし、これがヤツの琴線に触れたらしい。



『だっ、だってっ……』



更に震えている弱々しい声を耳にして、ハッとさせられる。

震える吐息も、電話から微かに聞こえていた。

こいつ、泣いて……?!



いつもとは違う、ただならぬ様子に感情そのままぼやいてしまったことを、後悔した瞬間だった。



「な、なずな……?」

『れ、伶士の声聞いたらっ……れ、伶士にっ……あ、会いたくなるってっ、お、思ったんだよっ……』

「……」

『も、もう辛くてっ……ぜ、全部、投げ出してっ……ダメになるってっ、思ったっ……だ、だからっ、我慢してたっ……』



俺に会いたくなるから、我慢してた……?



わかっていたのに、改めて気付かされる。

こいつとて、そこまで強くない。