俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


「お、おまえ!今どこにいるんだ、何してる?!元気にしてるのか?!」



あれだけ待ち侘びていただけあって、次々と言葉が飛び出してくる。一気に質問責め。

……だが、当のなずなは質問には答えず無言だった。

人の足音や物音だけが、電話の向こうから聞こえる。



『……』

「……おい!聞こえてるか?……もしもし!」

『……』

「……返事ぐらいしろなずなぁぁ!」

『……今日、これからフィリピンに行ってくる』

「なっ……」



……そうか、これからなのか。

ヤツが、フィリピンへ旅立つのは。



「親父の遺言で、ママに会ってくる……」

「そ、そうか……」



とうとう、行ってしまうのか。

そう思うと、俺の変な勢いも衰えていた。



「ぱ、パスポート、大丈夫かよ……」

『……うん、作った』

「じ、じゃあ……今後トーマスのところに行けるな……」

『だから、トーマスって誰……』

「だから、現地の人」

『……』

「……おい」

『……』



せっかく電話くれたのに、無言が多い。

らしくなくて、なんかモヤモヤする。