「ん?」
忠晴に指摘されて気付いた。
ソファーにちょい置きしていたスマホがブルブル震えていて、画面がピカピカ光っている。
誰だ誰だ。
御堂さんだったら無視するよ。
……だが、着信の相手は、無視しては決していけない相手だった。
(……はっ!)
ウインドウに記された名前を見て、驚きのあまり息が詰まりそうになる。
それは、待ちくたびれて……でも、諦めきれない相手。
「も、も、もしもしっ!もしもし!」
慌てて電話に出るなり、吃ってしまった。
気持ちが逸るのは、ちょっと許してほしい。
電話越しでも俺の勢いに圧倒されたのか、ヤツは……なずなはしばらく黙っていたが。
『れ、伶士……わ、私だ……』
久々に耳にしたその声に、安堵したのは言うまでもない。
「なずな、おまえ……」
『私だ』だってよ。私私詐欺、相変わらずだな?
あまりの変わらなさぶりに、吹いてしまいそうになった。
しかし、いつものように偉そうな口調ではなく、声に張りがなくて弱々しい。気持ち、震えてるような。



