そんな小さな事で切なくなり、意識を逸らすかのように、これから迎えるインターハイに集中して部活に明け暮れると、そのうち8月になっていた。
そしてインターハイも終わると、みんなで海に行ったりもしたけど。ここになずながいないと思うと、また切なくなった。
海、一緒に来たかったな、なんて思いながら。
いつの間にかお盆の時期になっていて、夏も……もう、終わる。
ただ、時だけが淡々と過ぎていく。
なずなが傍にいない日々だけが。
時が経つのがこんなにも粛々と静かだとは思わなかった。
あんなに騒がしかった日々が、まるで嘘のよう。
そんな日々とは打って変わった、今。
夏休みももう残りわずかで、部活も無く、何の予定もないのに早起きなんてしてしまった俺は、朝ごはんを食べてダラダラとしながら。
二人で一緒にいた、少し前の出来事を思い出しながらしみじみと感じていた。
……なずなからの連絡は、ない。
まるで、存在そのものが消え去ってしまったかのように。
(……)
……連絡のひとつぐらい、寄越しやがれ。



