俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


それは……。



(……あれ)



……確かに。ぽめの言う通り。

なずなの口から直接そう聞いたわけじゃない。

なずなのこの過去話も、ざっくりと聞いたものだし。

なずながそう思ってるに違いないというか……『普通なら恐らくそう思うであろう』という、大多数一般論からくる俺の勝手な憶測なわけであって。




(……)



犬に正論を突きつけられて、何も言えないでいた。

ようするに、ぽめは『俺がなずなの感情を妥当だとか一般論で勝手に決めつけて、勝手に落ち込んでいる』と言いたいのだろう。

だから、一方通行か。

だが、その犬は次なる言葉を畳み掛けてくる。




ふたりはおもいあってんだろ?

れいしどのは、なずなとはなれたくない。

それなら、なずなだっておなじことをおもってるかもしれないだろ?

なずながほんとうはどうおもってるか、ホントのこときかないうちから、おちこんだらダメだぞー。




……わかってる、それは。ちっ。

なずながひょっとしたら、フィリピンに行ったまま帰ってこなくなるかもしれないなんて、単なる俺の不安だ。

こんな風にネガティブに考えるなんて、俺の弱さなのかもしれない。