そんな危惧もしていたが……結局、放課後になってみると。
廊下の窓から見える校内の駐車場に、菩提さんのあの高級RV車が停めてあり、そこに急いで乗り込んでいくなずなの姿を見かける。
時間的にお急ぎだったのか、乗り込むなり急いで発進して学校の敷地から出て行ってしまった。
なんだ…。
すると、それを見計らっていたかのように、スマホに連絡が入る。
やはり、それは綾小路さんからで、裏通りのパン屋で待っているとのことだった。
そこから急いで学校を後にし、駆け付ける。
パン屋の駐車場には、やはり綾小路さんの車が停まっていて、運転席には綾小路さんが座っていた。
俯いてスマホを見ていたようだが、傍に寄ってきた俺の気配に気付くと、和やかに手を振っている。
「どうぞどうぞ」と促されて、速やかに助手席に乗り込むと、直ぐに車は発進した。
「いやー。突然でごめんね?機会は早めに、今日しか無いと思ったんだよ」
ハンドルを握りながらの、綾小路さんからの第一声はそれだった。
申し訳なさそうな物言いではあるが、表情は至って笑顔だ。



