俺たちの心の会話はさておいて、綾小路さんらと豹牙は話を続けていた。



「……目的、果たしましたか?」



綾小路さんの穏やかな問いかけに、豹牙は満足げにおもいっきり頷く。

まるで、心が晴れてスッキリしたかのように。



「おう。しかと見届けたで?……『黒翼』の魔力があの男から分解されるのを。あの黒い翼の魔力を悪用されるなんて、俺にとっては黙っちゃいられねえことだからな?あれを見て見ぬふりしちゃあ、あいつに顔向け出来ねえ」

「そうでしたか。ならばその『あいつ』には顔向け出来そうですね?」

「ああ。次に会う時までに、もっと強く、立派な神族になるって約束したかんな!」



意気揚々と語る豹牙の姿を見て、綾小路さんは爽やかにフッと笑った。



「僕も死後の世界で優さんに会うまでに、恥ずかしくない生き方していかなきゃなぁ……」



そう呟いて、またフッと笑っていた。

その横顔は、何かに吹っ切れたかのように清々しかった。




「そういや伶士くん、橘社長は大丈夫ですか?お元気ですか?」

「は、はい……表面上はいつもと変わらない感じですが……」




ーーーそれぞれが、前を向いて歩き出す。