一瞬、心臓停まるかと思った。
そこにいたのは……紛れもなく、あの音宮のおじさんだったのだから。
逝去の直前のあの痩せ細った顔ではなく、俺の知っている元気だった時のおじさんの顔で。
身なりもおじさんの制服化としてる定番の出立ち、カーキのミリタリーコートに、黒Tシャツ、デニムに皮のブーツと……本当に本当に俺の知ってるおじさんだったりする。
その、ニコッとはにかんだ笑顔も。
「おじさん?!何で……何で?!」
何で、おじさんがこの『夢』の世界に現れて。
何で、こうして普通に会話が出来ちゃっているんだ?
驚きのあまり、思わず傍にいたおじさんの体を両手でペタペタと触ってしまう。
幻影などではなく……実体?
驚き連続の様子の俺を見て、おじさんは「あははは」と笑う。
「実はねー。今、最後のお別れのために、みんなの夢枕に立っている最中なんだよ」
「ゆ、夢枕?!夢枕って、神様仏様や故人が夢の中に現れてお告げをする……なんてやつ?」
「うん。まあお告げなんてものはしないけど。ひとことお別れバイバーイ!みたいな?」
……軽っ!



