俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


「……士朗ちゃん、柊斗、美織。行くよ?」

「え、乱さん?」

「今日はもう店を閉める。……貸し切りにするから、私達と一緒に飲まないかい?」

「え……」



突然のお誘いに、母さんは目を丸くしていた。振り向いて、親父と柊斗さんの顔を伺っている。

パパ太夫は、目を伏せてフッと笑っていた。



「……今晩は、どうも一人じゃいられそうにない。だから、心の友を失って悲しんでいる者同士、今晩は飲み明かそう」



パパ太夫の後ろに集まった人達は、賛同するように頷いている。

みんな……同じ思いのようだ。



「……」

「逝ってしまった優の話をいっぱいしようじゃないか。今までの思い出話、たくさんあるだろう?……みんなで優の死を悲しもうじゃないか」

「……乱さんっ」



途端に母さんは駆け出す。

その横顔は歪んでいて、涙が光っていた。

正面にいたパパ太夫に抱き着くなり、「うっ…ううっ……」と、嗚咽する声を漏らしている。

母さん、それ、オッサンだよ?!



「おやおや、美織。泣き虫で儚いのは母親になっても変わらないねぇ?」



そう言ってパパ太夫は、泣く子をあやすかのように、母さんの背中をトントンとゆっくり叩いていた。