車の姿がやがて見えなくなると、張り詰めていた空気は一旦解けるように、話し声がちらほらと聞こえ始める。
看護師さんらは病院の中へと戻ったりと、人の動きが出てきた。
そんな様子を見守りながら、また一人立ち尽くす。
さて、なずなを見送ったし、子供の俺にはもうやることはないだろう。
忠晴を呼んで帰るか、それとも……。
と、思っていたら、母さんがこっちにやってきた。後ろには親父と柊斗さんもいる。
「母さん」
「伶士、夜遅くなっちゃったわね。忠晴呼んでもう帰りましょうか」
「そのつもりだけど……母さんは?」
「私は……」
……その時、大きな影がかかり、誰かがこっちにやってきたのに気が付いた。
俺たちの前に現れたのは、パパ太夫。
だけではなく、木嶋さんや綾小路さん。その後ろには神威さんや川越さんもいる。
先程、旦那さんを送り出した星砂さんや、真凛とその育ての母から、やかましやニューハーフ軍団まで。
全員ゾロリと勢揃いしていた。
だが、用があるのは、俺ではなく。
一緒にいた大人達だった。



