遠く離れてしまい、傍にはいてやれないけど。
いつものおまえなら、大丈夫。……だなんていう、変な確信があった。
だって、なずなは。
負けず嫌いで、意地っ張りの見栄っ張り。しつこいぐらい、諦めが悪いし。
そして……強い。護るべきものを護る、その為に。その特別な力で何度も助けてくれた。護ってくれた。
なずななら、絶対乗り越えられる。
そう、信じてる。
じっとなずなだけを見つめていると、視線に気が付いたのか、なずながふとこっちを見る。
パッと目が合った。
(……待ってるから)
絶対、戻ってこい。
互いの視線がひとつの線になり、二人同時に頷き合う。
何かが通じたかのように。
そうしてなずなら一行は、皆んなに見守られて車に乗り込んでいた。
これから……陸路での長旅が始まるのだ。
綾小路さんの話によると、海路も使うらしい。手続きはトントンと済んであるという。
「ふふふ。国家権力ですよ」とドヤ顔を見せていたが。
そして、助手席の窓が開く。
菩提さんが顔を出して「じゃ」と改めて挨拶すると、車は発進し、あっさりと行ってしまった。
「道中気を付けなさいよぉぉ!」というニューハーフの雄叫びに送られて。



