俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


flowerの店員らにやんややんやと突っ込まれて、菩提さんは流すように軽く笑っている。

かしこまった挨拶も、ニューハーフの手にかかればこんなもんか。

しかし、この面子の勢いに戸惑うことなく「あはは」だけで軽く流せるなんて、やはり菩提さんは遣り手なのだ。

俺なんてもみくちゃにされて、ズタボロに……。



そんなニューハーフの魔の手を簡単に逃れて、菩提さんは大勢のお見送りに向けて、改めて頭を下げる。



「それでは、行って参ります」



菩提さんの挨拶を黙って聞いていたお見送りの人達は、静かに頭を下げ返す。

「戻って来たら一杯やるよ!」「一緒に強く生きるよ!」と、やんややんやうるさいのはニューハーフ軍団だけだった。

「いい加減やかましわ!」と、パパ太夫に後ろからケリを入れられている。




俺は……ただ、なずなだけを見守っていた。




菩提さんの傍で、俯き加減のヤツを。

下を向いたヤツの表情は、不安げで頼りない。悲しみが心を占めているんだ。それは当たり前だ。



(大丈夫だ……)



そう念じるように、なずなをじっと見つめる。