これから京都までの移動手段となるハイエースは、既に正面玄関前にエンジンをかけたまま停車していた。
おじさんも既に、車の中にいるようた。
見送りに並ぶたくさんの友人、知人の前で、菩提さんは挨拶をした。
その傍にはなずなもいる。
「皆さん、本日は我が師、所長・音宮優のために御足労頂きありがとうございました。……逝く前に皆さんが駆け付けてくれて、きっと所長も喜んでいると思います」
凛とした立ち振る舞いで、菩提さんは皆んなに向かって頭を下げた。
なずなもぎこちなく、遅れて頭を下げる。
少し離れたところには、親父と母さん、柊斗さんも並んで立っていて、皆んなに向かって頭を下げていた。
「所長は天寿を全うしましたが、音宮陰陽事務所はこれからも健在です。我々はほんの少しの間だけお暇を頂きますが、これからも若輩者である我々にご指導、ご鞭撻のほど頂けると幸いです」
「剣軌ぃぃっ!カタイ挨拶してんじゃないわよぉっ!」
「おまえが優に代わって所長になるなら、優の代わりに毎晩ウチに飲みに来なさいよぉぉっ!」
「アンタも負けじとイイオトコよぉぉ!」
「あはは」



