「何かしてやれることは、全部してやるよ。そして、絶対戻ってこい。ずっと待ってるから」
思いが滲み出るかのように、抱きしめる腕に力を込める。
ギュッときつく抱きしめると、再び胸に顔をこてんと埋めて頷いていた。
「……うん」
預けてくれた思いと体は、温かい。
乗り越えられるように、祈ってる。想ってるから。
「っていうか、絶対帰って来るよ。だって……肉」
「ん?」
「……肉。肉忘れんなよ?!私が帰ってきたら、速攻で食いに行くからな?!」
「……」
……あ、ああ。ショー参加の見返りですか?
こんな状況でも忘れてないとか、こんな状況なのにそんなセリフ吐いちゃうとか、どんな根性してるんだ……。
そんなセリフを吐きながらも、俺の胸に顔を埋めたままでいるあたり、後ろめたさあんの?
元々の、元気で可愛いヤツの姿を見られる日も、そう遠くはあるまい。
『絶対帰って来るよ』
それに……『また明日』が言えなくても。
その言葉が、約束があれば、今の俺には十分。
ふと触れた手には温度が戻っていた。
一度繋いだその手は……もう二度と離さない。



