今は、悲しいだろう。
寂しいのは当たり前。
でも……それは、ずっとじゃない。
おまえが一人でずっと寂しい思いをさせないように、みんながそばにいる。
俺も、含めて。
俺の胸の中で静かに泣く、なずなの小さい頭をそっと撫でながら、そんなことを念じるように思っていた。
……だが、泣いていたと思ったら。
「……聞きたいことは、たくさんあるんだけどさぁ」
「……え」
そう言うと同時に、なずなはバッと顔を上げて、じっと俺の顔を見る。
涙でぐちゃぐちゃにになった目は、キッと俺を睨みつけるかのよう。
「聞きたいことって……」
「何で親父が奇跡的に目を覚ましたのかとか。……で、何で都合良く当主継承されて私が神力使えるようになってんだ」
「そ、それは……よかったね」
すると、なずなの顔が急にクワッ!となる。
「よかったね?!……じゃねえよ!いったいどういうことなんだって聞きたいんだよ!親父は体力的にもう二度と目が覚めないって言われてたんだぞ。こんな都合のいい奇跡的な展開、あるか!」
「いや、日頃の行い……」
「何?何そのはぐらかし方!……伶士のくせに!」



