俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


そう呟いた後、細い肩、頭や体が震え、俯いて嗚咽する声が微かに漏れていた。

……手を握るだけじゃ、足りなくて。

思わずその手を伸ばして、肩を引き寄せてしまう。



「伶士っ……」



両腕の中に収まったなずなは、俺の胸に顔を埋める。

嗚咽して震える体と、弱々しい声が振動となって胸に伝わってきた。



「わかってる、わかってるよっ……これでよかったんだ……親父を呪いから解放したんだっ……」

「……うん」

「でもっ、でも、寂しいっ……もう、親父に会えないっ……」



どんな言葉を掛けたらいいのか迷ってしまって、ただ相槌を打つことしか出来なかった。

実の父親が亡くなったんだ。悲しいのは当たり前。

どんな慰めも、今はただの戯言になってしまう。

ただ抱き止めて、思いをただ聞いて、受け止めてやるしかないと思った。




「寂しい……」




……ただ、安堵していることがある。

こいつ、おじさんの命が尽きるその瞬間、涙を流さなかった。

実の父親を失ったなずなが一番辛いはずなのに。大人どもが散々泣いていたからな。

だから、失った悲しみをこうして吐き出すことが出来て……良かった。