さっきまでしかと開いていた目は、だんだんと閉まりかけては開いての繰り返しとなっていた。
呼吸も静かに浅いものになっていく。
顔色も先程と比べたら悪いし、モニターのアラームも忙しくなっていて、そのうち先生と看護師さんも病室にやってきた。
とうとう訪れる……最期の時。
それは、この場にある誰もがわかっていた。
「優……」
ベッドサイドで様子を見守っていた親父が、ふと呼び掛けていた。
名前を呼ばれたおじさんは、視線のみ親父に向ける。
「ごめん、ごめんな……前からずっと謝らなきゃいけないと思っていた」
らしくない弱気な発言は、聞いている方も戸惑ってしまう。
普段、自信満々に伸ばしている親父の背筋は、今だけ小さく丸まっているような気がした。
「俺のせいで……俺のせいで、若い年頃の時期に、こんな土地に来させられて、住み込みでボディガードだなんてやらされてよ?おまえには陰陽師として総本山に留まって、もっとやりたいことがあったろうに、俺のせいで……」
肩を落として、親父は一人勝手に呟いていた。



