その時、柊斗さんは、おじさんの傍にある心電図モニターをチラリと見る。
アラームが鳴っていて、それを目にしたおじさんは、顔を歪めた。
……柊斗さんは、医療の現場に携わる仕事をしている。だから、このピーピーと鳴るモニターが何を指し示しているのか、わかるんだろう。
「なのにっ……」
「大丈夫。もう長くはないって、わかってる」
「おまえっ……」
それでも笑顔を見せるおじさんに、柊斗さんの目は溜まった涙で光っている。
「俺、寂しがりやなの知ってるしょ?……だから、柊斗にも来てもらえて良かった」
「いつでも来るって、んなもん!」
「俺が終わる、その時まで……居て欲しい、みんなにも」
「優っ……」
すると、柊斗さんの後を追って来たかのように、病室のドアがガラッと開き、また来客が現れた。
しかし、それは……。
「か、母さん……?」
後ろにはお馴染みの執事、忠晴を伴わせている。
うちの母さんだった。
「優さん、目が覚めたって本当ですか?!」
「やあ、美織ちゃん……」
母さんの姿を目にしたおじさんは、弱々しく手を挙げた。



