病室の窓から、橙の陽光が差し込んできたことで気付く。
太陽の高さは低くなっており、気付けばもう夕方になっていた。
なずなたちがここにやってきてからは、訪問客は途絶えていたのだが。
ここで、うちの親父同様、おじさんと縁の深い重要な人がこの病室を訪れる。
「優っ……マジか!」
「わぁ、柊斗……会いたかったよ」
「つっ…当たり前だろ!」
おじさんが目を開けて、声を発していることを理解すると、飛び出すようにベッドサイドに駆け寄ってきた。
柊斗さん、曈真くんのお父さん。
柊斗さんは単身、スーツ姿だ。職場から駆け付けてきたんだろう。
親父と柊斗さんと、おじさんは。
北桜学園の中等部からの同級生だった。高等部を卒業するまで、部活は違えど、何をするにも三人で行動していたらしい。
大学は別々になり、それぞれの道を行くも、何かにつけては三人は必ず集まって顔を合わせていたという。
もう、何十年来の親友なのだ。
「ばかやろっ!もう目を覚ますことはないって言われてたんだぞ?!なのに……」



