その音は、俺たちに緊張感さえ与えるのだ。
三年間ずっと寝たきりだったおじさんには……この身体ではもう、生命を維持する体力が残されていない。
そんなおじさんの様子、笑顔で誤魔化されてしまうが……実は顔色は悪い。土気色で、呼吸も浅くて苦しそうにしている。
こうして、目を覚まして会話が出来てること自体が、本当に奇跡で。
おじさんの言った通り。
もう、長くはないのだ……。
「心配するな。一通り連絡してきたぞ」
そこに現れたのは、スマホを手に持った親父だった。
姿を見せなかったと思ったら、おじさんが目を覚ましたことを、……そして、もう長くはないことを親しい人達に連絡していたのだろう。
突然やってきた最期のために。
親父の後ろには、白衣姿のおっさんもいる。恐らく、病院の先生。
「士朗……ありがと」
「もう、諦めていたのにまさか……まさか、おまえと最期に話が出来るなんて……」
そう言った親父の顔は、少しばかりか歪んでいる。今にも泣きそうだ。
こんな顔する親父、見たことない。
ーーそれから。
この病室には、入れ替わり立ち替わり、いろいろな人が訪れた。



