なずなが……なずなが今、戦っている。
俺の選択した未来通りに、動いている。
大事なものを護る、その為に。
そう思うと、拳に力が入る。
……なずな。信じてるから。
絶対、ここに戻ってくることを。
「てなわけで……玲於奈お願い」
「エ」
おじさんは俺の頭を撫でながら、玲於奈の方を見る。玲於奈は相変わらず、立ち振る舞いもっさりだけど。
「南三条東五丁目。……サブロクから一本中に入ったところにある、ライブハウス『ワズント』。今は廃墟だけど……」
「そ、ソレは……!」
「……なずなと剣軌はそこにいる。お願い、二人を迎えに行ってあげて」
「モチロンですって!……いってきマス!」
途端に玲於奈は病室を飛び出して行く。
目を見開いて必死そうな、前髪の向こうのその表情がチラリと見えた。
「それと、拓狼……みんなに連絡してくれるかな」
「へ?みんなって……」
「俺……たぶん、もう長くない」
「えっ……」
……そう。
おじさんが目を覚ましたことは、喜ばしいことなのだけど。
話に夢中だったかもしれないが、さっきから医療機器のアラームがピコピコと音を立てている。
おじさんが目を覚ましてから、ずっと。



