「じゃあ……リグ・ヴェーダの逃げ勝ちですか?まったくもう…」
「あはは。警察は大変だねぇ……」
「笑い事じゃないっすよ、優さん。でも、この事件も完全に終焉となるのか…」
綾小路さんは眉を顰めながらも苦笑いして、ため息をついた。
その時、この場にいる全員が、何かを感じて顔をバッと上げた。
もちろん、俺にもわかった。
「……これは?!」
「な、何?このバカでかい魔力!」
この近辺で、何か目に見えない、嫌な感じの圧力か何かを感じた。ような気がする。
俺の後ろにいる真凛はあたふたしており、ベッド周りにいる綾小路さんらは神妙な顔になった。
そんな中で、おじさんだけが呑気にしている。
「あ……どうやら、新当主の初陣が始まったみたい……」
「は?新当主って」
「なずなですか?!」
「うん。……今のは【相殺】で結界も巻き込んで魔力分解しちゃったんだと思う……結界が解けて、中に秘めてた魔力が丸出しに……この魔力の圧はたぶん、水晶鬼の『核』の魔力なんじゃないか……」
「こんな魔力の圧をよく結界で隠してましたね……」



