《いくつかの夢を見て、その選択権を与えられる。…未来は【夢殿】の思うまま》
そんなのは、嘘だった。
全てを完璧に思うがままなんて。
何から何まで『運命』に抗いきることは、やっぱり……無理なのだと思う。
すると、自分の力の限界を感じて肩を落としていると、またふわっと頭を撫でられる。
おじさんの手だ。
「……いや、ある意味ハッピーエンドだと思うよ?」
「え……?」
おじさんの言っていることの意味がわからず、混惑して首を傾げる。
返ってきたのは、まず、笑顔だった。
「彼の本当の望みは……こういうことだったんだと思う……だから、ある意味ハッピーエンド」
「こういうことって……死ぬことが?!」
おじさんは頷く。
「彼は……世界消滅云々を掲げておきながらも、実は生きていることに限界を感じていたんだと思うよ。いずれはこうなる『運命』だったんだと思う」
「そんな……」
「……それをわかっていながら、それを気付かせてあげられなかった、俺にも非があるんだけど……」
まるで悔いるかのように、おじさんの声が少し弱くなった。



