「リグ・ヴェーダが、死を……?」
「確かに。魔力はヤツの矜持だ。奪われてしまったら、そういうことになるかもな」
「……」
衝撃の結末を耳にしたみんなは驚く。
その中で、俺は……申し訳ない気持ちになった。
この結末を『選んだ』身として。
「皆さん、すみません……」
頭を下げる勢いで、俯く。
皆がどれだけ彼の捕獲に必死だったかわかるからこそ、俺一人の選んだ未来で、今までの努力が水の泡になってしまったからだ。
「皆さんが彼を『魔力を奪って生け捕り』しようとしていたのに、こんな事になって……」
「伶士クン……」
「でも……他に選択肢が無かったんです。彼に関しては、菩提さんの手によって命を落とすか、水晶鬼の『核』と融合して暴走するという選択肢しか……」
これは俺の力不足なのか……それとも『運命』だったのか。
どの選択肢を見ても、こっちの望むような結末として『彼が無事でいる』というものはひとつもなかった。
三人が共に無事で助かる未来、俺たちのお望み通りの未来は、ひとつもなかったのだ。



