そして、おじさんは目を覚ました。
「……いやはや、大胆な選択肢ですねぇ。優さんの精神世界に干渉して優さんの意識を取り戻すなり、音宮家の当主継承の儀を執り行わせるとは……」
「で、なずなサンに神童になってもらい、【相殺】で魔族化したボスを元に戻すということデスカ」
事の状況の説明を聞き、綾小路さんらは驚きを隠せないようだ。
俺も、この選択肢を見た時は驚いた。これだけが手が込んでいて複雑であったがために。
「……で、そのルートを通った本当の結末はどうなるわけ?」
だが、この奇抜な案に感嘆することもなく、風祭さんは淡々と核心であるその続きを問う。
だが……。
「そ、それは……」
……この続き、結末は。
ハッピーエンドというには、微妙だった。
全員が、助かる。
……のでは、ないから。
なずなが神童となり、【相殺】を放って菩提さんを魔族化から救う。
しかし、その【相殺】に巻き込まれて、黒い翼の彼も魔族化が解かれる。……つまり、彼も魔力が奪われて、普通の人間になってしまうのだ。
そして、魔力を失い絶望した彼は、人間の身のまま、隠し持っていた水晶鬼閣下の『核』へと自分の身を投じる。
高位魔族の強い魔力に当てられて『死ぬ』ことを選んだのだ。



