そう喚き散らして現れたのは、陰陽師の少女だった。
……あぁ、俺が直接手を下した音宮優の娘だな。
鬱陶しい。と、感じたが。
《殺してやる》
ストレートにぶつけられた殺気は、何故か心地良かった。
おまえが死ねば良かったのに。と、責められることのなかった過去。
……本当はみんな、そう思っていたんだろ?
憎くて、憎くて仕方なかったはず。
しかし、誰も何も俺を責めることはなくて、もどかしかった。
いっそのこと、責めてくれれば楽だったのに。
《殺してやる》
そう言うのならば、いつか殺してくれよ。
俺は、自分で自分を殺せないチキンだ。
過去の痛みが思い出され、何故か高揚してしまった。
そうして俺は、全滅しかけている同胞を放って魔界を渡る。
何故逃げたのかは、わからない。
今思えば、死にたくない。ただのチキンだったからだろう。
死にたくない。
でも、彼女のいない世界で生きることに意味はあるか。
でも、自分で自分を殺せない。
でも……死にたいんだ。
母も彼女も死んで、何故俺が生きている?
生きている負い目に、押し潰されそうだ。



