大きな音に体を震わせ顔を上げると、そこには……近しい仲間の一人の姿があったのだった。
「れ、玲於奈?!」
「アナタ達!何勝手なことをしてるんデスカ!ボクに何も言わずに!」
滅多に出さない大声をあげて、私達の方に駆けてくる。
こっちに来るなり、飛び付くように左右の手それぞれで私達を包み込んだ。
左に剣軌、右に私をグイッと引き寄せて収めたその腕はギュッと力が入っている。
「ダメです、ダメですって……キケンなことは!アナタ達の身に何かあったらボクは……!」
「玲於奈……」
玲於奈には内緒でここに来てしまった。
玲於奈に話したら、散々反対されるだろうから。
怒ってるだろうか、それとも心配かけたのか。
どっちにしても、申し訳ない思いが込み上げてくる。
「ごめん……」と、腕の中でそっと呟いた。
だが、その腕の力がフッと抜ける。
玲於奈は……目の前の状況に気付いたのか、絶句しているようだった。
「あれは……」
玲於奈の視線の先は、向こうに横たわっているリグ・ヴェーダだった。



