俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


まるで、この結果に満足したような。

目的が、願いが果たされて何も思い残すことがないと言っているような。



「こいつ……こんな風に笑えるんだな」



剣軌の一言が胸に刺さる。

私らは今まで、ただ憎悪の感情だけでリグ・ヴェーダを見ていたのだけど。

こいつにはこいつなりの事情があったのかもしれない。深い、心の闇が。

けど……こうして命を落としては、もう知る由もないのだ。



(親父は……)



……親父は、わかっていたんだろうか。

だから、説得交渉に臨んだのだろうか。

これも、知る由が……。



……あっ。



「つ、剣軌!こうしちゃいられないって!は、早く親父のところに!」



一悶着あって忘れかけていた。

親父の身に何か異変が起きている。早く親父のところに行かねばならない。

ひょっとしたら……奇跡が。



「わかっている。行くぞ」



お互い目を合わせると、頷き合う。



「コイツの躯はここに置いておこう。運転しながら拓狼さんら警察に連絡しておく」



剣軌がその一言を私に告げた時。

この廃墟の正面ドアがバタン!と開いた。



「ほ、ホントにいまシタ……」