俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


……私、こいつのこと恨んでいたんだよね。復讐しようとしていたんだよね。

でも、そうじゃないと思い留まった。剣軌も納得した。



けど、結局はこいつは死んで。

助けられなくて。

……私は一体、何をやっていたんだろうか。



何が正しかったのか、わからなくなってきた。



肩を落として、今までの行動を思い返す。

半ば悔いていた……その時。



「見ろよ。コイツ、笑ってる」

「……は?」



いつの間にか私より前に出て、横たわるリグ・ヴェーダの顔を覗き込んでいた剣軌が声をあげた。

いつもの感情を見せない淡々とした表情なのに、少しばかりか苦笑いしていると思ったのは気のせいか。

急に何を言い出すんだ。と思いながらも、兄弟子の言う通りに赴いて、生命の営みを停めたヤツの顔を見る。

……だが、その顔貌に驚いてしまったのは言うまでもない。



「……」



笑ってる……。

いつもの不気味な微笑みではない。

目尻が下がり口角は緩やかに上がっていて。

憑き物が取れたかのように、安らかで心地良さそうで。

人間らしい、心からの笑顔だった。