俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


「……でも、お嬢さんが急に【神童】になっちゃって、まさか不意打ち【相殺】してくるとは思わなかった。すごい誤算だよ。魔力が無くなった状態じゃ『器』は無理だねえ。……でも」



何をしようとしているのか、何が起こるのか。

警戒心は強まるばかりで、全然動けない。

ヤツがずりずりと歩いて『核』に向かうのを、黙って見ているしかなかった。



その時、剣軌の身体がビクンと動いた。



「ま、まさか……!」

「『核』を残しておいた理由……こういう使い方だってあるんだよ」


そう言い放ったヤツは、足を止めてチラッと振り返る。

私たちを一瞥して、ニヤリと笑った。



「……なずな、停めろ!」



剣軌の一言で、事の状況を瞬時に察する。

同時に、リグ・ヴェーダは私らに背を向けて水晶鬼の『核』へと身を投げるように飛び込んでいった。

『停めろ』

……剣軌は、今の私の【相殺】で霊力が安定せず力が使えない。

ここは私がやるしかない。



……ただの人間のヤツが、高位魔族の生きている『核』に飛び込んでいったらどうなるか?

ヤツは生きている『核』の餌となるだけ。

一気にその身を取り込まれ、食われてしまう。すなわち『死』だ。