何故だかはわからないけど。でもそれはまるで、絶望で戦意を失った私を鼓舞するかのように。
(伶士……)
……信じてるって言ってくれたのに、ごめん。
どうにかしたいと色々模索してみたけど、ホントにどうしていいかわからない。
わからないよ。
(どうしよう、親父っ……)
窮地の時にいつも思うのは、絶対的な存在の師匠である父。
……親父なら、こんな時どうする?
《なずな、love you……》
小さな頃からいつも掛けてくれた、親愛の囁きが今も耳に焼き付いている。
その一言は、いつだって私に喜びと立ち上がる力を与えてくれていた。
でも、今は……。
《……love you、なずな》
違和感に気付いて、ハッと顔を上げた。
辺りをキョロキョロ見回してみるも、パッと見てさほど変化はない。
(……親父?)
今のは何?
今、確かに……最後の一言は、回想ではなく。
耳にしっかりと残る、はっきりとした肉声だったような気がする。
だが、変化が起きていたのは周辺ではなかった。
「はっ……」



