夜、両親が不在で寂しくて、剣軌に縋るように傍にいたことなど。
《daddyは?momは?どこ?……どこ?ううぅぅ…》
《なーには俺がいるよ。泣かないで一緒に寝よう》
思い出されるにつれて、目頭がどんどん熱くなっていく。
(嫌だ……)
……起こってしまったことは仕方がない。過ぎ去った日々はもう戻ってこない。
でも、少しでも失いたくないと思うのは、私のワガママなんだろうか。
《なずな、love you……》
嫌だ、行かないで。
みんな、置いていかないで。
……もう届かないとわかっているのに、涙でぼやけて視界を通してでも剣軌に念じずにはいられない。
右腕のみは完全に魔族化し、黒塗りの鱗だらけの肌になっている。
どうしよう、このままじゃ……!
何か、何か手は無いだろうか?
この際、リグ・ヴェーダなんてホントどうでもいい。
剣軌の魔族化を阻止するには……!
《明日何がどうなるかなんてわからないよ。こんな状況だ》
……その時、愛しい護りたい人に掛けられた一言が、突然私の頭に流れ込んできた。



