故意に魔力を充填して戦に臨むなんざ、もちろん御法度。

それに、冥王ほどの濃い魔力の血液。魔力の充填どころか、魔族そのものと化するのは必須……!



(剣軌……!)



藁にもすがる思いで、念を飛ばすように剣軌を見つめるが。



「……」



ここぞとばかりに、剣軌は肯定も……否定もしなかった。

否定はしない。つまり。

リグ・ヴェーダの言ってることは、大方事実なのか……!



「……剣軌!剣軌、嘘だろ?!」

「……」

「魔族と交流持ってるとか、冥王の軍師やってるとか!おまえが魔族の手先やってるとか、嘘だろって!……剣軌!」



否定しない、その事実を信じたくなくて、叫びながら剣軌の方へ駆け出す。

しかし、剣軌の傍に辿り着くその前に、見えない壁に弾かれて後方に吹き飛ばされてしまう。

濃い魔力が更に凝縮されて壁となり、結界のようなものになっていた。

剣軌の傍に、近寄ることが出来ない……!



「剣軌!何とか言えよ!……剣軌!」



弾かれて膝を着いてしまった私は、その場で叫び掛けることしか出来ない。

声をも枯らすほどに。