俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


そう口にした途端、表情をガラッと変えたのには驚いた。口が開いて塞がってないのに気付くほど。

ヘラヘラ笑っている顔ばかりのヤローなのに。いつのまにか、ヤツの表情は怒りに満ちて、殺気で溢れている。



「何で僕らを始末しようとしないで、言葉の説得に入るかなぁ?!陰陽師なんだよね?魔族は抹消、そんな使命があるんだよね?!……なのに、何で綺麗事ばかりで交渉しようとするんだよ!」

「……何だと?」

「可哀想って目で見られるのが嫌いだ。求めていないのに助けてあげるって、傲慢な態度も嫌いだ!寒気が……」

「……だから、何だ?」



剣軌の返答と同時に、突風が刃となりヤツを襲う。

ヤツは襲撃に気付いて飛び上がったものの、反応が微妙に遅れ、剣軌の放った風の刃……鎌鼬(かまいたち)が黒い翼の端を掠める。

剣軌、無詠唱で風神召喚したのか?!

いくら得意技とはいえ、無茶な……!

しかも、相手が揚々と喋ってる最中に。敢えて空気読まないとか、非情過ぎる。



そんな風神が放つ風にも煽られていて、ヤツの黒い羽根は高く舞ってはハラハラと落ちていた。

そんな黒い羽根の雨の隙間から、ヤツは眉を顰めて言う。



「……人の話は最後まで聞けって、言われたことない?」

「無いな」

「ラスボスだって、ヒーロー喋ってる間は黙って聞いてるのだけど」

「おまえの恨み節なんか聞いてる暇はない」