俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


そして、返答に困って固まった私を構わず、ヤツは一人で喋り続ける。

まるで、舞台の主役のように。



「……散々、人をも殺して悪いことしまくっているにも関わらず、そんな僕らに憐れみの目を向けた人がいる」



そんなセリフを吐くヤツだが、語気が強まる。

ひん剥いて血走ったイッちゃってる目つきの、その奥底には『怒り』が込められているような気がした。

不気味だ。不気味過ぎる。警戒を強めてヤツの行動を見守った。



だが、その背筋がザワザワする声で、私達の大切な人の名前をヤツは口にした。



「音宮優……君らのお父さんさ?」



心臓がぐるんと震える。

殺気がはみ出したかのように。



「……おまえがその名前を口にするなあぁぁっ!」



私が怒るよりも先に、憤慨して怒鳴り散らしたのは剣軌だった。

ヤツの口から出たセリフを掻き消すかのように。

だが、それでもヤツは笑い続ける。



「あはははっ。何怒ってんの?こっちだって、怒りたいんだよ?……何で、そんな手を差し伸べられなきゃならないの」

「おまえ……」

「……全然可哀想じゃないんだよ!こっちは!」