俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


小さなステージの奥で、パイプ椅子に腰掛けている。

周りには、ゴミや廃材だけではなく……自身の黒い羽根も共に散らかっていた。

椅子に腰掛け、片膝を抱えている。ヤツの代名詞である身長をも超える二つの黒い翼は出したまま、その身を抱えて護るように。

まるで、夜眠りにつく烏のよう。



リグ・ヴェーダ。

その姿を視界に入れると、腹の底から怒りが沸き上がる。

……だが、剣軌も同じ心情だったらしい。



「何もかもが中途半端過ぎて腹立たしい」



憎しみが込められた、棘のある発言を投げかけた。

しかし、それを笑い飛ばしてしまうのだから、なお勘に触る。



「あはははっ!完璧を求められてもねぇ?」



完全に、おちょくられているのだ。



「それで、何?……僕を殺しに来たの?」

「そうだ。それ以外におまえに用事あるか」

「いいねぇ……その瞳。憎しみたっぷりでさぁ?!」



淡々としている剣軌とは打って変わって、ヤツは気分が高揚してきたのか、声が張り上がって大きくなった。

アホじゃねえのか。殺すと言われてご機嫌になってるとか。

ビビらないから、こっちは更に苛立たせられる。