俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


ライブハウス、なるほど。言われてみれば、そんな感じかもしれない。面影は全くと言っていいほどないけど。



車のエンジンを切った剣軌は、早々に車を降りていく。

後部座席のドアを開けて、置いてあった荷物を持ち出していた。小型のクーラーボックスだ。ビール350ml缶が六本入るぐらいの。

……実は、車に乗った時から気になっていた。そのクーラーボックス。

何というか……異様な妖気を発している。

簡易結界を施しているからか、その詳細はよくわからないけど。

また変な小道具を仕入れたのだろうか。

訝しげにそのクーラーボックスに視線を送りながら、私も慌てて後を追うように車を降りた。



「行くぞ」

「あ、うん」



そうして、為すがままに剣軌の後を追う。

……結局、何も決断出来ないまま。

自分の思いを告げる事も出来ないまま、先に行く剣軌の背中を見つめる。



(……)



……私にとって、伶士の存在はもちろん大切だけど。

この兄弟子のことも、大切といえば大切なのだ。

今、この状況で、唯一の身内ともいえる。