俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


まさか伶士が『憎っくきあの男の首を獲って来い!』という心情ではないだろう。

あんな甘ちゃんの優しい男だ。憎かろうが人を殺めるなど推奨するタチではない。

『やめろ』と言いたいところを、グッと堪えて好きにすればいい、信じてると私に告げたのだ。



……もし、私がお望み通りにあのヤローの首を獲り、復讐を果たしたところで。

私は翌日、昨日とは変わらず、何食わぬ顔で伶士の隣にいられるのだろうか?



そもそも、あのヤローを殺さなくとも、【相殺】で魔力を奪えば、親父は呪いから解放されるんだぞ?

みんなの言う通り、最低限の目的は果たせるんだ。

それに、殺すにしても【相殺】にしても、呪いから解放された親父は、どのみち死ぬ。

今の容態では、意識も戻らずにそのまま心臓が停まるだろうとのことだ。

二度と……目を開けることはない。



けれど……親父や私らの受けた三年間の苦痛は、その程度では収まらないのも事実。

剣軌の言い分も、わからないわけではない。



殺すまでしなくともよい。

しかし、そんな程度じゃ納得がいかない。

でも、復讐を果たした後、伶士の隣にいられるのか。



私の中で、葛藤が生じる。