「は……」
俺の口から出た重要な一言に反応したのか、なずなは何かを言い掛けて固まった。
沈黙の最中、顔色を伺うも、口を開けたままの申し訳ないが間抜けな表情だ。
俺が、こんなことを言ってくるとは、思わなかったか?
しばらく沈黙が続いて。
金縛りが解けたかのように、ようやく話の続きを始める。
「……まさか。玲於奈や拓狼さんから」
「……」
無言で頷くが、なずなも「ふーん…」と頷き返すのみだった。
不自然に何度も頷いている。勝手に一人で察しているかのように。
何を考えてるかは……わからない。
「……」
「……」
そして再び、二人の間に沈黙が訪れた。
ただ何も話さず、目の前で打ち上がる花火をひたすらじっと見つめる。
ドン!ドン!と、花火の打ち上がる音だけが、ただただ響いていた。
このまま沈黙が続いても、別に嫌な時間というわけではないのだけど。
話が進まないのと、気持ちが伝わらないのは、困る。
「……俺は、別にいいんだ」
俯いて黙っていたなずなの顔を覗き込んで、そう告げる。



