(いや…)
そうじゃない。
問題は『俺』じゃない。なずななんだ。
なずながどうしたいか、なんだ。
周りが、みんなで固めた方針に背いてはダメだとか、殺しはダメだとか言っても。
兄弟子に唆されているかもしれないとは言っても。
それを全部ひっくるめて、なずなが復讐に走るのか止まるのかは……なずなが決める事。
本当のところ、なずながどうしたいのかは、なずな自身で選択しなければならないと思う。
だって……自分の父親がだぞ?あんな目に遭わされて、それでも殺すなと言われて。
仮にも本当は復讐したいのだとして、周りにダメだと横槍を入れられて無理矢理制止されて、果たして納得できるのだろうか?
俺だって、なずなに『殺し』だなんてしてほしくない。復讐の鬼なんかになってほしくない。やめろ!と一言いいたい自分はいるよ。
でも、それは……なずな自身が納得して、決めなくてはならないことなんだ。
そうでなくては、『他人に止められた』という後悔だけが残る。誰かのせいにしたくなる。
そして、また同じ季節が来た時にきっと、同じ日のことを思い出す。



