俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


(いや…)



そうじゃない。

問題は『俺』じゃない。なずななんだ。



なずながどうしたいか、なんだ。



周りが、みんなで固めた方針に背いてはダメだとか、殺しはダメだとか言っても。

兄弟子に唆されているかもしれないとは言っても。

それを全部ひっくるめて、なずなが復讐に走るのか止まるのかは……なずなが決める事。



本当のところ、なずながどうしたいのかは、なずな自身で選択しなければならないと思う。



だって……自分の父親がだぞ?あんな目に遭わされて、それでも殺すなと言われて。

仮にも本当は復讐したいのだとして、周りにダメだと横槍を入れられて無理矢理制止されて、果たして納得できるのだろうか?



俺だって、なずなに『殺し』だなんてしてほしくない。復讐の鬼なんかになってほしくない。やめろ!と一言いいたい自分はいるよ。

でも、それは……なずな自身が納得して、決めなくてはならないことなんだ。

そうでなくては、『他人に止められた』という後悔だけが残る。誰かのせいにしたくなる。

そして、また同じ季節が来た時にきっと、同じ日のことを思い出す。