俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


ガクッときた。

お怒りモードからガラッと一転した、その切り替えの早さに翻弄されてしまう。

だが、笑い声でドッと沸き立っていた観客生徒の様子から……あぁ、これはウケを狙ったアドリブで、蓑島さんなりの余興だったのかと察する。

さすがミスター。こんなところで笑いも取れるし、あんなブサイクな怒り顔見せてもイケメンだし。



仕切り直した蓑島さんは、そっとなずなに手を差し出す。

切り替えにまだ戸惑うなずなの手を取り、共に一歩。俺の前に出て来る。

なずなから手を離して、俺に向かって、まるで紳士のような一礼を披露して。

なずなを置いて一歩下がると、途端に沸き上がる「キャー!」という、女子の黄色い声援を受けながら、ランウェイを悠々と歩いて引き返して行く。

急に台本通りになった。

……散々やらかして、最後はこっちに丸投げしてきた感もあるが。

それでも何だか憎めないみんなのアイドルの去っていく背中を見ては、苦笑いが出てしまう。



(まったく…)



そして、観客が注目すべきランウェイのセンターサークルには、丸投げされた俺となずな……真の新郎新婦役の二人が取り残されたのだった。