「手塩にかけて育てた可愛い娘をおまえにはやらんぞぉぉぉ!どこの馬の骨の部分だ、おまえはぁぁ!」
「え、え、ち、ちょっと!」
「だから、馬の骨のどこの部分だおまえぇぇぇっ!」
「わっ!」
「馬の骨!馬の骨ええぇぇっ!」
「わわ!」
そう怒鳴られながら、次々と肩をどつかれ、しまいには両肩掴まれて、前後にガクガク激しく揺さぶられる。
ち、ちょっと。ちょっと。頭がグラグラで脳みそ揺れる。
こんな怒られるの台本にあったっけ?!
馬の骨馬の骨言われながら、激しく揺さぶられ、視界がグラグラ……頭も脳みそもグラグラだし、吐き気がそろそろ!
蓑島さんの向こうにいるなずなの顔はチラッと見えた。
蓑島さんの突然の奇行にポカンとしてる。
しかし、酔ってゲロってしまったら大変だ。早いところやめてもらわねば!
「ちょ、ちょ、蓑島さん」
「……なーんちゃってね。冗談」
「へ?」
揺さぶりはそこでピタッと止まる。
新婦の父役はいつの間にかコロッと表情を変えていて、ニーッと笑って舌をペロッと出していた。
は……冗談?
何だ。
「うっそーん。てなわけで、花嫁をヨロ」



