安村さんと談笑しながら、モニター中継を覗く。
……あ、これ御堂さんじゃないか。
淡いピンクのカクテルドレスを着て、堂々とランウェイを歩いているよう。
清純派で通している御堂さんに、まさにピッタリの悪どさの無いドレスだ。
内面は、めちゃくちゃ毒だらけだけどね?この人。
けど、けど。
なずなの着るウェディングドレスの方が、断然素敵だぞ。
先日、出来上がったものを、五島さんにこっそり見せてもらった。
トルソーに飾ってあるドレスを見て、うるっときてしまったのは言うまでもない。
『これを、これをヤツが着るんですか…!』
『ちょと、すごい感激してない?本当に結婚するみたい…』
呆れて苦笑いする五島さんの横で、俺は様々な思いを胸に高揚していた。
本当に、結婚する新郎の態度そのものだわ。
本当に結婚する時、こんな感情を抱くのだろうか。
でも、その時のその相手は。
今と同じく、なずなであってほしい。
……だなんて、考えるのは俺だけだろうか。
そんなことを思い出しては、ドレスと色とデザインの揃った自分のタキシードに目をやった。



