グダグダと考え込む前に、たったひとつの事実を信じて、目の前の状況を大いに受け入れるのが、今の俺の正解。
それが、俺の愛の証なのだ。きっと。
ショーの出演者は本来、控室とした体育館のステージの袖にある器材室や家庭科室で準備を進める。
恐らく、なずなや蓑島さんはそこにいる。
だが、俺は秘密裏の出演ということで、準備控室の秘密裏な場所、職員室の傍にある茶道部の拠点である小さな和室、作法室に案内された。
そこで着替えだのメイクだの、最終点検を行う。
そして、秘密裏なので、出演ギリギリまでここで待機。
デザイア五島さんが俺の様子を見に来て「しっかり頼むよぉー!」と、いつもより気合いの入った様子で激励をしに来た。
「……しかし、待機長くて暇だな」
そう呟いたら、メイクをしてくれていた安村さんが「これで経過がわかるよ」と、スマホを見せてくれた。
どうやら、スマホのアプリでモニター中継しているらしい。
「進行は序盤の方かな?」
「今年も本格的だね。すごい」
「うん。大変だったぁー」



