「そういえば橘くん、なずぽよのモデルの件、説得してくれたんだってね。五島部長が感謝してたよ?足向けて寝られないって」
安村さんは、クスクスと笑っている。五島さんのあの様子でも思い出し笑いしたんだろうか。
安村さんは、家政サークルの部員。五島さんからの伝言を俺に伝えに来たのも彼女だった。
「ショーの準備はどう?順調なの?あいつ、みんな困らせてない?」
なずなから経過の報告を聞けないので、安村さんに何となく伺ってみる。
なずなが、文句ぶーたれたり、何かワガママやらかしてないかと心配もしながら。
……だが、何気に聞いたこの質問が、俺を暴動の輩、フーリガンへと変貌させるとは。
「うん、全然助かってるよ?むしろ困らせてるのは部長かな。部長、なずぽよが引き受けてくれた喜びで調子に乗っちゃって」
「へぇ」
「ちょっと予定変更しちゃって……ね?」
「予定変更?」
首を傾げる。ショーの予定変更なんて、何?
まさか、あのドレスじゃないものを着るとか?
えー。あれを楽しみにしてたのに。
「橘くん、聞いてない?」
「き、聞いてないよ?え、何?」
「それは……」



